公益法人: 2014年10月アーカイブ

役員報酬の公表

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こんにちは、税理士山下です。

先月は「公益法人への立入検査」が多くあり、

単月で4件の立ち合いをしました。

その中で、問題になった点の1つを紹介します。

 

立入検査の際のチェックリストは、

当初は滋賀と鹿児島くらいしか公表していませんでしたが、

最近は、他の県も公開するところが増えました。

ちなみに香川県は、まだ非公開です。

 

私が手許で利用しているチェックリストは滋賀県のものですが、

基本的には、どの県も内閣府のものを使用していると思います。

 

その中の項目、P-01において役員報酬について触れています。

具体的には、以下の通りです。

≪検査項目≫

支給基準を公表しているか

≪確認方法等≫

支給基準をどのような方法で公表しているか。

また、定款で役員等は無報酬としている場合は、

そのことをどのような方法で公表しているかを確認する。

 

この検査項目の根拠は、認定法の20条第2項です。

確かに、公表しなければならないとされています。

問題は、「公表」の定義です。

 

立入検査を受けている法人様は、

規程を備え置いて、閲覧の用に供せる状態にしていました。

これが、駄目だと判断されました。

そして立入検査の総評で、

「支給基準をホームページで公表してください。」

との指導を受けました。

 

 

 

正直、

「なんでやねん。」

って思いましたね。

 

 

すぐに食らいつきました。

まず、1つ目の質問。

「『非公表』の場合は、開示請求があろうが公表しないってことですよね?

ということは、閲覧が可能であれば、『公表』していることになりませんか?」

 

そして、2つ目の質問。

「公告ですら、『事務所の見やすい場所に掲示』でOKですよね?

だったら、HPに載せなくても、事務所に掲示すれば良いですよね?」

正直、公告義務よりも重いものとは思えません。

 

 

 

この質問に対して県の方は、

公益法人の事務員の方に対して、

「広辞苑ってありますか?」

 

 

 

そして広辞苑で「公表」を引きながら、

「こんな時は、広辞苑で調べるんですよ。」

 

 

その結果、「公表」の意味は、

「広く世間に発表すること」

 

 

 

1つ目の質問に対しては、

「備え置いてるだけじゃ、『広く世間に発表』してませんよね?」

 

 

2つ目の質問に対しては、

「掲示しているだけじゃ、『広く世間に発表』してませんよね?」

 

ということになり、

私の反論は、却下されてしましました。

 

 

 

 

正直、

「こんな禅問答、やっとれるか!」

と思い、その場は引き下がりました。

 

 

 

 

 

そして、事務所に帰り、色々と調べます。

そして、以下のような内容のメールを送りました。

 

 

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いろいろ調べてみたのですが、
 
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令」
 
において、第5条第1項で、
 
「・・・に係る次に掲げるものの見通しに関する事項を公表しなければならない。」
 
とあります。そして第2項で、
 
「前項の規定による公表は、次のいずれかの方法で行わなければならない。
 
 1 公報又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
 2 講習の見やすい場所に掲示し、又は公衆の閲覧に供する方法」
 
とあります。
 
また第3項で、
 
「前項第2号の規定による公衆の閲覧は、閲覧所を設け、
 
又はインターネットを利用して
 
閲覧に供する方法によらなければならない。・・・。」とあります。
 
 
 
上記から考えると、
 
ホームページでの掲載は、インターネットを利用した『閲覧』であると思われます。
 
そして、「公衆の見やすい場所に掲示」や「閲覧に供する方法」も、
 
「公表」の方法であるとしています。
 
 
 
 
つまり政令で「公表の方法」として、
 
「掲示」や「閲覧」を認めていることになります。
 
 
 
でれば、先日の「公益法人の役員報酬規程の公表」も、
 
公告と同様に「掲示」することや、備え置いて「閲覧」の用に供することも、
 
認められるのではないでしょうか?

 

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この質問に対しては即答してもらえず、

内閣府に確認してから回答してもらえるようになりました。

 

 

 

その結果。

 

 

「法律上、『公表』について定義されてないので、

備え置いて、閲覧のように供すれば問題ありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

あの、広辞苑のくだりは、

 

なんだったんだろうか・・・。

 

 

 

 

 

という訳で、

役員報酬の支給基準に関しては、

必ずしもホームページで掲載する必要は、ありません。

 

ここ最近、HP上で公表している公益法人が増えています。

同じような間違った指導が、まかり通ってるんだろうなぁと思ってしまいます。

 

 

 

 

                                         おしまい。

 

 

 

 

 

 

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