経済・金融: 2010年12月アーカイブ

高福祉高負担?

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こんにちは、二見事務所の山下です。

少し古い話ですが、11/23の勤労感謝の日、午前5時台のFMラジオに、

民主党の議員さんが出ていて、「高福祉高負担」という言葉を発言していました。

その時に感じた違和感について、エントリーします。

 

このラジオの内容そのものの詳細は忘れましたが、

要は「高福祉高負担」か「低福祉低負担」かの選択というような話でした。

これらの言葉自体は、特に目新しいものではありません。

消費税や社会保険料に関する論議には、かならず付いてくるものです。

高い福祉を実現するためには、高い負担を要する。

まあ、当たり前のことです。

しかしながら、久しぶりにこの言葉を耳にして、ものすごく違和感を感じました。

 

何に違和感を感じたか。

すぐには、自分自身よく分かりませんでした。

まだ早朝の5時台で、頭もよく回りません。

ガシラ(カサゴ)を釣りながら何となく考えていると、形が見えてきました。

「高福祉」と「高負担」がワンセット。

では、どういう形での「セット」を前提にしているのか。

 

年金を中心に考えてみます。

年金は、日本においては「賦課方式」であり、「社会保険料方式」です。

これと対極にあるものが、それぞれ「積立方式」と「税方式」です。

 

「賦課方式」は「世代間扶養」を目的とした制度です。

現役世代が年金受給世代を支える、という制度です。

つまり現在支払われている年金は、現役世代が払っている保険料が原資です。

つまり「福祉」と「負担」のセットは、受給世代の「福祉」と現役世代の「負担」です。

 

さて、年金に特に詳しくない人&興味・実感がない人が、

「高福祉高負担」という言葉を聞いた場合、なんと思うでしょうか?

日本のサラリーマンの殆んどは、税金・社会保険料を天引きされ、

負担感が少ないとされています。

(あるいは、そのように仕向けられているという意見もあります)

おそらくは、

『自分たちが将来高い福祉を得るためには、

  高い負担をしなければならない』

そのように勘違いするのではないでしょうか。

この勘違いの場合は、自分が受ける「福祉」と自分自身の「負担」がセットです。

 

そうです。

私が感じた違和感は、ここに有ったのです。

「高福祉高負担」、こんな曖昧な表現で許されるのだろうか?

 

では現役世代、特に若者が、勘違い通りに「高福祉高負担」を実現することは可能?

恐らく不可能でしょう。

つまり「福祉」と「負担」のセットを自分自身にするならば、

「高福祉超激高負担」

「低福祉高負担」

「無福祉中負担」(生活保護等は、別枠と考えて)

になってしまうのではないでしょうか。

 

賦課方式・社会保険料方式が「世代間扶養」である以上、

少子高齢社会では、この問題は避けて通れないでしょう。

制度(運用も含めて)上の問題、人口(死亡率・出生率)予測、政治(選挙)的な目論見、政治家も官僚も、分かってて目を瞑っていた面もあるかと思われます。

 

この「世代間扶養」は、結果的に「世代間格差」を生み出しています。

現役世代は、受給世代より多く負担するにも関わらず、福祉は少ない。

でも「世代間格差」は、まだ容認される傾向があります。

 

戦争を経験した人たちだから。

戦後の貧しい時代に、日本を支えた人たちだから。

もっと直球でいえば、老人は弱者だから。(現実には、そうとは限らないのに)

 

でも、無制限に容認されてい良いのか?

当然のことながら、疑問が残ります。

 

ここ最近、「雇用」についての「世代間格差」が注目されています。

(このことについては、また後日エントリーしたいと考えています)

年金等の福祉における世代間格差も、これまでのように容認はされないでしょう。

総理大臣も、年金について発言が右往左往する今日。

我々国民ひとりひとりが、もっと深く考えなければならないと感じます。

 

*注記*

私は社会保険労務士や年金アドバイザーではなく、また年金に関して、

特に深く勉強したことはありません。

あくまで個人的な見解と浅い知識でもって、書いています。

間違い等もあろうかと思いますが、ご容赦ください。

 

また、国民年金保険料の滞納・不払いを奨励するものでは有りません。

国民年金には、老齢年金以外に「障害年金」や「遺族年金」等もあります。

安易な気持ちで滞納・不払いすることは、決してお薦めしません。

 

 

あぁ、クリスマスイヴに暗い話題をエントリーしてしまった・・・。

 

 

 

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